日本森田療法学会のご紹介
中村 敬
学校法人慈恵大学 参与、
東京慈恵会医科大学森田療法センター 名誉センター長
 中村 敬
ホームページにようこそ
日本森田療法学会のホームページにおいでいただき、ありがとうございます。 当学会は、森田療法の普及、発展を促進し、同療法の研究とその実践家の育成に貢献するとともに、会員相互の連絡を図ることを目的として、1983年に設立されました。以来、毎年秋に学会を開催しており、現在、約700名の会員が所属しています。また年に2回、学会機関誌「日本森田療法学会雑誌」を刊行しています。

森田療法とは
森田療法は、我国の精神科医、森田正馬(もりたまさたけ)によって1919年に創始された独自の精神療法です。元来は強迫性障害、社交恐怖や広場恐怖などの恐怖症性不安障害、パニック障害、全般性不安障害、心気障害などの神経症性障害が治療の対象でした。
 森田療法では、神経症の根底にある不安や死の恐怖は自然な感情であり、よりよく生きようとする人間本来の欲望(生の欲望)と表裏一体の関係にあるものと理解します。にもかかわらず神経症の患者さんは、自己の不安を排除することに努力を傾ける結果、かえって不安が増幅し症状にとらわれていくのです。森田療法の核心は、このようなとらわれを打破することであり、患者さんが自己の不安も生の欲望も自然な人間性として受容し、「あるがまま」の自己を現実に生かしていかれるよう援助していきます。

現代における森田療法の発展
森田療法は創生期から臥褥と作業を骨子とする独特の入院療法を基本形にしてきました。 けれども今日では総合病院、クリニック、学校や職場の相談室などで、外来(通所)の森田療法も広く普及してきました。このため当学会では2009年に「外来森田療法のガイドライン」を策定し、外来における森田療法の標準化を進めています。また「生活の発見会」のような森田療法に基づく自助グループが大きく発展したことも、他の療法には類を見ない特徴です。このように現代の森田療法は入院療法、外来治療、自助グループといった多様な形態で実施されており、相互の連携も進んでいます。
 治療対象については、神経症に限らず遷延したうつ病に適用されて効果を挙げている他、慢性疼痛、アトピー性皮膚炎など種々の心身症、癌の患者さんや一般の人々のメンタルヘルスにも森田療法が応用されています。
 さらに海外でも森田療法の普及が進んでMorita Therapyの名は世界に認知されており、 過去7回、日本、中国、カナダ、オーストラリアで国際森田療法学会が開催されました。2010年には森田療法国際委員会(International Committee for Morita Therapy)が設立され、今後当学会との緊密な協力のもとに、一層の国際的普及を推進していきます。森田の著書は英、仏、独、スペイン、中国、韓国語に翻訳出版されており、多数の治療施設を有する中国を始めとして北米、オーストラリア、ロシアなどの地で森田療法が行われています。

森田療法の認定資格と研修
当学会では「日本森田療法学会認定医制度規則」「日本森田療法学会認定心理療法士制度規則」に則り、森田療法の専門家として広い知識と練磨された技能を有する医師および心理療法士を認定しています。また主として自助グループの指導者を対象に「日本森田療法学会認定指導員制度規則」を制定しております(治療資格ではありません)。
森田療法の実践家の育成は当学会の重要な役割のひとつであり、研修委員会を設置して研修体制の整備に当たっています。現在、森田療法に関心を寄せる臨床家、カウンセラー、教育関係者などを対象に札幌、盛岡、東京、大阪、福岡の地で森田療法セミナーが開講されており、研修委員会はその運営に全面的に協力しています。

以上、森田療法の現況をお伝えしました。このページをご覧の皆様には、私たちと共に森田療法を学び、この療法の発展に寄与して頂くよう心からお願い致します。

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